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WALLFLOWER CATALOGUE FILE.035 : Rudy De Anda - CLOSET BOTANIST

WALLFLOWER CATALOGUE FILE.035 : Rudy De Anda - CLOSET BOTANIST

不器用な情熱を花束にして

私はときどき変なタイミングで誰かに夢中になってしまいます。2年ほど前のストロベリー・ガイが正にそれでした。
そして今、ブームにあるのが、ルディ・デ・アンダです。
ルディはメキシコ系アメリカ人のSSWで、ジャンルとしてはチカーノ・ソウルに入るのでしょうか。2023年リリースのこの2ndアルバムは、サイケでロックでメランコリック、そしてスペイン語曲もある多文化的な音楽で、気だるい夏の午後、すこし陽が傾いた時間をイメージさせるもの。
好きになったきっかけは、ある部分の「音」です。
朝食のとき、パートナーが時々かけるこのレコードを「スペインのインディーバンドかな?」くらいの温度感で聴いていたのですが、繰り返し耳にするうちに、どうしようもなくツボにはまる部分がありました。
A面最後の『Tu Mirada』という曲で、後半にThe Doorsのようなインプロヴィゼーションが展開されます。その終わりに「パーポーパーポーブォォォォーーーン」という謎のSE(?)が流れるのがなんとも不穏で、昼下がりにうたた寝をしていたら、サイレンが夢に侵入してきたような感覚。

「パーポーパーポーブォォォォーーーン」

 インスピレーション源として The Velvet UndergroundやThe Kinksが挙げられているこのアルバムは、サイケでレトロなムードが漂います。それだけではない悪夢的で映画的な演出に「どんなアーティストなの??」と気になって仕方なくなりました。
音の雰囲気から私はバンドだと思いこんでいたのですが、彼はソロアーティストです。あらためて名前を認識して、生い立ちや人生の反映された音楽を聴くと、ポップでメロディアスなラブソングも味わい深く聞こえます。親しみやすい歌声で、若さやハンサムを売りにするわけでもないチャーミングなルディが大真面目に熱演するMVもたまらなかったりして。

アルバムタイトルの『CLOSET BOTANIST』は、隠れた植物愛好家、という意味になるのでしょうか。
<あまりに深く誰かを愛するあまり、自分自身の庭に水をやるのを忘れてしまうような人たち>に捧げているというアルバム。ジャケットに描かれた花や緑は、心の中の庭園や閉ざされた室内に咲き誇る花々のようで、その落書きのような線にはラフさも繊細さも狂気も滲んでいるように思われます。
不器用な情熱を秘めた男性が、慣れない花屋さんで選んでくれた精一杯カラフルな花束みたい。
なんだか沁みいる、甘い熱を持った音楽が、気だるく暑い季節に似合います。

Artwork:    MARIANA ROCKWELL(art), AUTUMN BARNEY(design)
Format:   LP, vinyl
product no.(or ISBN) :   KCR12022LPC1

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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa

デザイナー

フリーランス ⇄ 会社勤務、ときどき友人たちのお手伝いもしています。
2024年 松本に移住。

Instagram: @fumika

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WALLFLOWER CATALOGUE(ウォールフラワー・カタログ)

デザイン心ゆさぶるアートワークの数々をデザイナーの荒澤文香さんが毎回1 点ずつご紹介。
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