![[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 031. Phaidon Editors - Cat](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/31_C_66ed0c3b-142c-4604-a8bc-71853c6aefb5.jpg?v=1775382517&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 031. Phaidon Editors - Cat
猫に恋して一万年
あなたは猫派? 犬派?
この世界では、犬や猫に限らずさまざまな種類の生き物が、ペットとしてというよりは家族の一員として人間と暮らしていたりします。でも、一般的な世間話のなかでは「あなたは犬派?猫派?」なんていうちょっと大雑把な質問が存在します。
その質問に答えるのなら、私は“猫派”です。野鳥も好きだけれど、二択ならば猫派。
犬に関していうと、大人になってからようやくその魅力もわかるようになりました(吠えられるし噛まれそうだし、子供の頃はとにかく苦手だったのです)20年近く猫と一緒に暮らしていたら、猫にも犬にも共通する生き物としての素晴らしさ、そして猫にはない“犬”の魅力も見えるようになり、なぜか苦手意識も消えました。猫を通して犬を知るなんて逆説的ではあるのですが、私に関してはそうだったのですから仕方ありません。犬の魅力や社会性はどこか人間に似た部分もあって理解しやすいように思います。
でも、猫に関してはどうでしょう?
あくまでも私個人の話ではありますが、猫一匹と長く暮らしたというだけでは分かり得ない、互いに向ける愛情や日々の幸福なやり取り以外の、猫という属性に共通する自由で謎めいていて不可思議な部分がより多くあるように思いました。
だから、人間が猫に魅了されてしまうのも、それを題材として自分のものとして扱いたくなる欲望も理解できます。多様で捉えどころがなく、わからないからこそ惹かれてしまう、まるで「恋」のような猫との関係。
この本はそんな、猫に恋した人類の歴史を紐解くアートブックです。
紀元前にはじまる人類と猫との歴史的な関係を具体化したビジュアルを、あるときは色彩やカタチの文脈で、あるときはユーモアでペアリングし、見開きページに並べるという手法が楽しい。
奈良美智さんや、柳本史さんの少女と猫を描いた作品(小版画集「UTOUTO」の表紙でもある)も収められているほか、歌川広重、ジャコメッティ、ピカソ、ビアズリー、ウォーホルといった古今東西の様々な芸術家の作品、キャロル・キングの名盤ジャケット、猫砂のパッケージ、豪徳寺の招き猫、学生服を着た「なめ猫」まで、あらゆる猫が登場するので、私のような日本人が一番楽しめてしまいそうな内容です。
列挙すると雑多なようですが、1つ1つ眺めていると見えてくるのは、猫という生き物の多面的な魅力と、それに抗えなかった人類の降参と称賛と愛の歴史です。
そして、ブックデザインに目を向けても猫のように魅惑的。
ハードカバーの表紙にはまんまるな猫が居て、まんまるに見開いた目の手前にはクルンと丸まった尻尾が。愛くるしい丸い塊は次の瞬間には飛びかかってくるかもしれないし、爪で引っ掻いたりするかもしれない。そんな、予想のつかない猫の次の行動をも、極シンプルなフォルムに感じさせるデザインの妙技。
しかも、猫は存在感を感じさせるエンボス加工、足跡やタイトル文字はしっかり凹ませたデボス加工という、手触りをともなった心憎い演出に猫愛を感じずにはいられません。
自分用にはちょっと高価かもしれないこの本も、猫、デザイン、アート、民俗学、どこかのカテゴリに属する愛好家・オタクの家族や仲の良い友達に贈るのには、大賛成の一冊です。私は自分で自分に贈ってしまいましたが…!
この本を眺めながら、心のなかにずっと生きている愛猫のことを思います。
そして、今も世界中で愛されている猫たちとその家族の安寧で愛に満ちた生活を願い、この本の2冊目が生まれるくらいに、人類と猫との歴史が脈々と続いてゆくことを祈るのです。
Artwork: -
Format: hard cover
product no. : 9781838669447
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa デザイナー
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WALLFLOWER CATALOGUE(ウォールフラワー・カタログ)
デザイン心ゆさぶるアートワークの数々をデザイナーの荒澤文香さんが毎回1 点ずつご紹介。
毎月1回更新中です。
※今回より更新タイミングが毎月上旬(その月最初の二十四節気の初日)と変更になりました
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