![[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 030. / CAMPER 50 (1975-2025) WALK, DON'T RUN](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/30_A.jpg?v=1772679210&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 030. / CAMPER 50 (1975-2025) WALK, DON'T RUN
歩こう。走らずに。
もう20年近く前になりますが、お気に入りの靴がありました。新宿駅にある商業施設・FlagsにあるCAMPERで見つけた「TWINS」という靴のシリーズ。左右非対称のデザインが特徴だったのですが、左足に猫、右足に犬の顔が刺繍された白いフラットシューズは、すでに十分いい大人だったはずの私の通勤靴として活躍しました。オフイスカジュアルに合わせても意外と馴染むし、電車で立っていても疲れにくい。そしてそのゆるい可愛さが大好きだったのです。
ままならないことの多い会社勤めでは、落ちこんだり泣きたくなることはしばしばです。でも、足元に目をやれば、猫と犬の顔が仲良く並んでる。お洒落というよりファニーすぎる表情に、とても癒されたことを思い出します。
そんな、私にとって小さくはない救いを提供してくれたスペインのシューズブランド「CAMPER」は、2025年に設立50周年を迎えました。それを記念して制作された本は、カタログ然として歴史を振りかえるわけではなく、アートブックとしての魅力に溢れています。
靴と動物や風景の写真を連ねることでそのユニークなデザインの成り立ちを連想したり、はたまた自由な飛躍があったり。歩くことを哲学し、提案してきたブランドの遊び心溢れるアーカイブは「そうきたか!」と思わせる大喜利のような側面もあって、ページを捲(めく)るのも楽しい。
「WALK, DON'T RUN」というブランドのメッセージを印象づける、赤い箱のようなデザインは「本の女王」と称されるオランダのブックデザイナー、イルマ・ボームによるもの。小口まで情熱的な赤い本は小ぶりだけど存在感があり、物質、物体として魅力的。私もこんなデザインができたらいいなぁ、と思うのです。
自動車の免許も持っていないし、自転車も苦手意識があり、私の移動はもっぱら「歩き」です。歩くことの何が良いかというと、交通ルールのことなど考えずに(※一応、気をつけてはいますが)ボーッと歩いていても怒られないこと。気になるものを見つけたら気軽に止まったり寄り道もできるし、自分のペースでどこまでも動けることは最高!でしかありません。歩けるうちは、どこまででも歩いてゆきたいものです。
「タイパ」「生産性」「効率化」…そんなスピード命な世界に苦手意識を感じてしまうとき、自分なりに抵抗をするのなら。
走らずに、歩いて、ときどきスキップして。歩くスピードで見える景色、心に浮かぶ感情を楽しめたらと思うのです。
CAMPER 50 (1975-2025) WALK, DON'T RUN
Artwork: Irma Boom
Format: softcover, embossed
product no. : 9783753307893
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa デザイナー
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WALLFLOWER CATALOGUE(ウォールフラワー・カタログ)
デザイン心ゆさぶるアートワークの数々をデザイナーの荒澤文香さんが毎回1 点ずつご紹介。
毎月1回更新中です。
※今回より更新タイミングが毎月上旬(その月最初の二十四節気の初日)と変更になりました
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