![[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 022. | Rikas "Soundtrack For A Movie That Has Not Been Written Yet”](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/022_eea01bdf-5c8b-4b21-a0de-717a99d2f69d.jpg?v=1753175205&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 022. | Rikas "Soundtrack For A Movie That Has Not Been Written Yet”
Soundtrack for your life
電車に乗るとき、街を歩くとき、車に乗るとき、音楽は聴きますか?
今回ご紹介したい音楽は、長距離移動よりは日常のちょっとした移動にこそぴったりかもしれません。のんびりとした田舎道ではなく、ターミナル駅の雑踏をマイペースにすり抜けながら。ホームで電車を待ちながら。自転車を漕ぎながら。都市生活で生じる小さな移動に似合う作品です。
ドイツで活動するインディーポップバンド Rikasの『Soundtrack For A Movie That Has Not Been Written Yet』は<まだ書かれていない映画のためのサウンドトラック>という興味深いタイトルを冠した2ndアルバム。ベニー・シングスとの共作もある彼らの音楽は、洗練されたポップスやダンスミュージックの要素もありながら、グイグイ来るというよりは一歩引いたユルさや脱力したボーカルスタイルも魅力。日常にするっと溶けこむリラックスした感覚が、誰かの物語ではなく自分自身が主役の物語のサウンドトラックになり得る気がします。
'80〜'90年代の映画のシーンにありそうな車窓とメンバーを切り取ったジャケット写真も、インナースリーブのドラマティックな夕景もこのアルバムを忠実に表したものではあるけれど、Jazzやワールドミュージックを彷彿とさせる帯のイラストが不思議なムードを添えていて、未だ書かれていない・誰も知らない物語へのイメージを膨らませます(ちなみに彼らの作品のアートワークはメンバーのクリスさんが手がけているそう)
日々の小さな移動や心の揺れが積もり積もって人生を作るのなら、移動中の心地よい1曲が旅を彩り、未知の場所へと導き、やがて人生という映画のサウンドトラックとなって。
いつか永遠の眠りにつくときに静かに上映されるのでしょうか。ハッピーな映画だったら良いです。
こちらのレコードは、海外アーティストの作品をフィジカルで制作するARISHIMA RECORDSさんからのリリースです。主宰の有島彩花さんがゲスト出演されたラジオ番組『Hickory Sound Excursion』(FMまつもと)でその活動を初めて知ったのですが、真っ直ぐでパッション溢れるお話にすっかりファンになってしまいました。そして、その熱量は、'90年代から活動を続ける私も大好きな佐久市のインディレーベル chocolate&lemonadeさんに通じるものも感じて、新旧音楽好き女子の熱いハートに元気を貰えます。
有島さんのご出演回やRikas特集のアーカイブはPodcastでお聴きいただけますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
Rikas - Soundtrack For A Movie That Has Not Been Written Ye
Artwork: Lisa Nguyen(photo) 、Christian Ronge(design)
Format: LP, vinyl
Product no : ARSM006
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa デザイナー
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WALLFLOWER CATALOGUE(ウォールフラワー・カタログ)
日々の壁際に花咲くデザイン心ゆさぶるアートワークの数々をデザイナーの荒澤文香さんが毎回1 点ずつご紹介。
毎月1回。2度目の二十四節気のタイミング(20日前後)で更新予定です。
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