![[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 020. | rêve (Compiled by Hiroshi Yoshimoto)](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/20_1.jpg?v=1747797168&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 020. | rêve (Compiled by Hiroshi Yoshimoto)
夢みるための音楽
夢。
誰がどんな夢をみているのか、人の頭のなかを覗くことなんてできないのだけれど、生きている場所や根ざす文化が違ったとしても「夢」というものには共通する感覚がある気がします。
子どもが言葉を覚える以前のもっともっとプリミティブな感覚、お母さんの胎内で安心感とともに感じとる音やイメージ、誰に教わるわけでもなく潜在意識に残る記憶は、言葉がなくても通じあえるし、受け継がれてゆくもの。「夢」は言葉ではなく、音楽やヴィジュアルで表現することが一番近しくなるのかもしれません。
フランス語の「rêve〈夢〉」をタイトルとしたコンピレーションは、フランスの作曲家・ドビュッシーの「Rêverie〈夢想〉」からはじまり、夢心地の「月の光」で締めくくられるまで、さまざまな音楽家の作品で彩られてゆきます。
淡く、やさしく、境界のぼんやりした美しさ、溶けあう響きのうつろいに安心して身をゆだねていられる…
私はこのコンピレーションが大好きで、rovakk musikkさんで取扱いのはじまる以前から愛聴していました。
発売された頃、元旦にこのアルバムを聴いて幸せな気持ちに包まれたことを覚えています。新年の明るい光が部屋の奥まで差しこみ、光そのもののが音になったようで希望を感じられたのです。
あまりにも好きすぎて私は人様に贈ったこともあるのですが、古いレコードジャケットを丸くちぎって生まれた版画もそのジャケットデザインも素敵で、贈り物にしたくなる気持ちをおわかりいただけるのではないでしょうか。自分や、誰かの幸せを願うことを「夢みる」と言い換えてもよいのかもしれません。
あるときは、月光のさやかな夜に。あるときは、静かな雨や曇り空の日に。
夢と日常のあわいを水彩絵の具のように溶けこませながら、不安な夢さえも心地よいトーンに調律してくれそうな音楽。
時には何もかも忘れて、幸せなまどろみの世界へ。

V.A. - rêve
Artwork: Wakana Tsunemoto
Format: CD
Product no : rm007
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa
デザイナー
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