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[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 019. | ホシムクドリがうたう歌
せかいはすてきなものにあふれている
松本にも春がやってきました。
春をはじめに告げてくれたのはツバメです。
2025年3月27日朝。駅に向かう途中で聞こえた懐かしい声を見上げるとそこに彼らの姿がありました。
その次の朝には近所でウグイスのさえずりも聞こえ、長くて寒い松本の冬が終わったことを知ります。
そのあと雪の降る日もありましたが、梅が咲き、桜が咲き、地面をツクシや菫やタンポポが彩り、春がいっぺんに訪れたかと思うとハナミズキもひらき、季節は着実に進んでいます。
巣作りをはじめた鳥たちは毎日忙しそうに飛びまわり、仲間たちとのおしゃべりも賑やか。
それらが聞こえてくると私も嬉しくてついニコニコしてしまうのですが、鳥たちは何を話し、歌っているのでしょう。
冬が終わり、大地が明るい色の草花で彩られてゆくこと。
晴れていて、カーテン越しの光がきらきら綺麗なこと。
やさしい風が開け放った窓から入ってくること。
その、季節ごとにちがう匂い。
気づくことができさえすれば、世界には「ただそれだけで幸せ」な、嬉しい、美しい、と思えることがたくさんあります。
いつまでもうっとりとながめていたいような・・
ホシムクドリは、どうやらそんな歌を歌っているようですよ。
「こうやってみわたせば、せかいはすてきなものにあふれている」と。
この絵本を読むまで「ホシムクドリ」という鳥のことを私は知らなかったのですが、光沢のある黒色の体に星をまとった洒落たムクドリのようです。
日本には亜種が僅かに渡ってくることがある以外ほとんど見かけることはないとのこと。
モノクロに嘴の黄色も映え、原書のデザインを日本語タイポグラフィに直したデザインも素敵な1冊のおかげで、いつか出会いたい憧れの鳥が増えました。
ホシムクドリの歌は、太陽や地球や光や闇、風や植物、ありとあらゆる生命の神秘をうたった讃歌。
私もあなたも生きる愛する世界へのラブソングをずっと聴かせてもらえるよう、人間はもうすこし頑張らなくちゃと思うのです。
心地よい風の入る季節は音楽のボリュームをすこし下げて、窓の外の鳥たちの歌に耳を澄ましてみませんか。
オクタヴィー・ウォルタース 作 塩﨑香織 訳 - ホシムクドリがうたう歌
Artwork: オクタヴィー・ウォルタース(絵)、神波みさと(デザイン)
Format: Book, Hard cover
ISBN : 9784911344026
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa
デザイナー
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