![[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 013. “Lia Darjes - PLATES I-XXXI “](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/13_1a_b26ac353-c41b-4d28-bc96-e3d41546703b.jpg?v=1729660570&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 013. “Lia Darjes - PLATES I-XXXI “
わ、見つかっちゃった!
森の入口に立つような深緑色の本。木々の向こうに隠れているのは、人間たちとは異なる世界に生きる森の住人たち。でも、ふいに当てられた眩い光によって彼らの秘密の時間が浮かびあがる。
洒落たベロアの表紙に見え隠れするシルエットは、この写真集のなりたちを示唆するかのよう。
ドイツ人フォトグラファー リア・ダーイェス(Lia Darjes)の作品集は、どこを切り取っても完璧です。
まず、コンセプトが素晴らしい。彼女や友人宅のテーブルに、食事の残りものや花、果物などをカメラとともに設置。そのカメラは人間たちが寝静まった頃にやってくる客人を察知してシャッターを切ります。思いがけず撮られてしまった生き物たちの表情とテーブルの上のパーティは、ユーモラスだったりドキリとするほど美しかったり。計画性と偶然性の生みだすファンタジーに、ページをめくるごとに夢中になります。
そして、美しい写真。リアが影響を受けたというブリューゲルやフェルメールなどオランダの巨匠の静物画を彷彿とさせる写真は、絵画のような静けさを湛えながらも鮮やか。テーブルセッティングの段階で、どのような客人やハプニングをも許容する計算された美があることに気づきます。
さらに、装丁が魅力的。光の加減で浮かびあがる、小鳥やリスのシルエットが型押しされたベロアのクロスはずっと撫でていたくなる手触り。そこにピンクで箔押しされたタイトルの控えめな主張がなんともキュート。
鳥好きも、小動物好きも、猫好きも、虫好きも。森に心を遊ばせたことのある大人をおとぎ話の世界に連れてゆく一冊。プレゼント選びに迷ったら、絵本がわりに贈るのも素敵かもしれません。
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa
デザイナー
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