![[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 009. ERLEND OYE & LA COMITIVA - LA COMITIVA](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/09_2.jpg?v=1718933264&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 009. ERLEND OYE & LA COMITIVA - LA COMITIVA
仲間と奏でる、平熱の祝祭感
一年のなかでいちばん昼の長い日、夏至。
ここ日本では梅雨の真っ只中ということも多くてあまり光の印象はなく、ある人にとってはキャンドルを灯す日だったり、ある人にとってはなんとなく過ぎてしまう日かもしれません。
物心ついたときから、私にとっての一年は冬至と夏至のポールを折り返す半年ずつのこと。元旦よりもクリスマスよりも待ち遠しい冬至を迎え、陽の光が力を取り戻すことが真冬における何よりの希望で、逆に夏至は光輝くお祝いの日なのに、なんだかメランコリックな気分になる。18歳までを雪国で過ごした私にとって、夏至はふたたび訪れる冬の厳しさを思い出させる古い扉のようです。
とはいえ、日本よりも冬の時間が暗く長い北半球の一部の人々にとっては、白夜の頃に迎える夏至はダンスでお祝いしたり、一晩じゅう街中で音楽が奏でられたりする祝祭の日。感傷に傾きがちな気持ちを忘れて一緒にお祝いしましょうか。
何か音楽をかけるなら、私は、5月にリリースされたKings Of Convenienceのアーランド・オイエと仲間たちによる『La Comitiva』を。南米的なリズムを相変わらずのリラックスした歌声と演奏で涼やかに聴かせてくれます。
メキシコのフォークアートを思わせる色彩豊かなイラストに描かれるのは、空と海、花々、鳥に猫にキリン。美味しい果物にケーキにお酒もあって、気のおけない音楽仲間がいて。愛すべきものたちが集っている。
このジャケットを飾ったら、窓の外にいる彼らのパーティーと私の部屋もつながるみたい。
悲しいときもあるから、嬉しい出来事はいっそう鮮やかな人生のよろこびに。
光も闇も、良いことも悪いこともなんでもある日々をひっくるめて、音楽の花束で祝いたい。
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa
デザイナー
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