![[WALLFLOWER CATALOGUE]FILE 007. Alec Soth “GATHERED LEAVES ANNOTATED”](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/07_1.jpg?v=1713508565&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE]FILE 007. Alec Soth “GATHERED LEAVES ANNOTATED”
シャッタースピード≒紙厚の詩情
2022年におこなわれた神奈川県立近代美術館での大規模展も記憶にあざやかなアレック・ソス。
こちらは2004年の“SLEEPING BY THE MISSISSIPPI”から2022年の“A POUND OF PICTURES”までの5つの旅=5つのプロジェクトの写真集を収録し、あらためて編纂したもの。
モノとしてのこの本がとても好きです。ただただ格好良いので、ミーハーな私は持っているだけでうれしくなってしまう類の本。でもコンセプトが明確でデザインに必然性があるから、クールさにぴしゃりと姿勢を正されます。
表紙カバーは地図になっていて、撮影地点はピンでマークされている。広げると大判のポスターにもなる意図のこめられた仕様。地図を広げる行為は5冊の写真集を俯瞰することとつながり、ソスが旅した時間、切り取られた人や風景の一瞬、背景を含めたさまざまなストーリーに想いをめぐらせる。
ページをめくると、モデルがインタビュー時に語っていたことや撮影メモ、関連写真や後日談(撮影後、その人物はいつ亡くなったか等…)が追記されていたりして、内容はとても濃い。ただ、これ以上ないくらいペラペラの薄い更紙に印刷されているので、ボリュームに反する軽さと薄さがページをめくる指にひっかかる。20年という時間/1秒に満たないシャッタースピードのフィジカルな対比。
この紙が選ばれた理由は他にあるかもしれないけれど、こんな「!」が頭に浮かぶデザインができたらな、といつも思う。
地図を眺めることはワクワクする。
新たな旅。これから訪れる場所、見知らぬ土地、地名から喚起されるイメージ。そして、旅のあとに残る少しの感傷。一瞬一瞬、人生を通り過ぎてゆく人や風景。
20年経ったら、私の旅の地図にはどんなピンの軌跡が描かれているだろう。
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa
デザイナー
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Alec Soth “GATHERED LEAVES ANNOTATED”
Artwork: Morgan Crowcroft-Brown(design)
Format: book / soft cover
Product no. 9781913620783
Link: Alec Soth - GATHERED LEAVES ANNOTATED [JAPANESE EDITION / SIGNED / NEW]
*sold out