![[WALLFLOWER CATALOGUE]FILE 006. Rinko Kawauchi “Des oiseaux (On birds)”](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/06_2.jpg?v=1710925262&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE]FILE 006. Rinko Kawauchi “Des oiseaux (On birds)”
ロックダウン下、あるツバメ一家と写真家の邂逅
黄色いくちばしを精いっぱいひらき、我先にと餌をねだるヒナたち。その生命力にあふれた姿がまぶしい。スズメ目(スズメ、ツバメ、カラス、文鳥など)のヒナのくちばしは黄色く、親鳥はこの黄色い入口を目指し、餌を探して飛んでくる。
川内倫子さんがご自宅近くで見つけたツバメの家族を撮影した写真集は、フランスのAtelier EXBが刊行する「Des oiseaux(鳥について)」というシリーズの一冊。世界中の写真家がそれぞれの視点と作風で鳥たちを捉えたシリーズは、布クロス装と写真、小さめのタイトル文字という装丁で統一されている。シンプルさの中にも、鳥の種類、写真家の数だけユニークネスがあるのだと思う。
ツバメ一家の写真集を包む淡色のクロスは、春から初夏に向かう写真集の空気のよう。薄紫色は、眠りから覚める夜明けにも、甘い香りを漂わせるスミレや藤の花にも、夕暮れの空にも似ている。
クロスの色は写真集に合わせて選ばれているだろうけれど、色の儚さに少し感傷をおぼえます。
四月になれば、七十二候は「玄鳥至(つばめきたる)」
遠い南の国からやってくるツバメたちも日本列島に到着する頃。
古代中国で生まれた二十四節気はそのまま日本に定着したけれど、七十二候は日本の気候や風土に合うように改訂があり、今は明治時代のものが採用されているとのこと。近年はツバメも減少傾向で、毎年のいとなみも七十二候も変わるときが来るのかもしれません。
そう思うと、命のひとときの夢や輝きを包みこむような表紙の色合いが、いっそうせつなく愛おしくなるのです。
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa
デザイナー
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Rinko Kawauchi “Des oiseaux (On birds)”
Artwork: 川内倫子(写真)、コリーヌ・アゲタス(デザイン)
Format: hard cover
Product no. 9784908062353
Link: 川内倫子 Rinko Kawauchi - Des oiseaux (On birds)[NEW / SIGNED]
*著者サイン入り本をrovakk musikkで取り扱いしています。