![[WALLFLOWER CATALOGUE]FILE 003. 駒形克己 “ほしがねむるところ“](http://rovakk.com/cdn/shop/articles/03_2.jpg?v=1703235176&width=2000)
[WALLFLOWER CATALOGUE]FILE 003. 駒形克己 “ほしがねむるところ“
星が眠るところを探して
この絵本の魅力を、私の写真と言葉で伝えるのはむずかしい。
「ほし」をテーマにシンプルな言葉で紡いだ白い絵本は、いくつかの紙やインク、型抜きや箔押し加工も用いて表現され、魅力的な印刷の見本帳のようでもある。でもそれはこの本の表面的な部分でしかない。
白といっても、つめたかったり、あたたかだったり個性がある。さりさり、しっとり、つるつる、手触りもさまざま、形もさまざま。
白くないページだってあるのに、読み終わって心に残るのはきらめく光。そして白く清らかな世界。
この絵本は、造本作家/デザイナーの駒形克己さんがフランスのグルノーブル市の依頼で、生まれてくる赤ちゃんのお祝いのために制作したものとのこと。
日本語・英語・フランス語の三つの言語、そして言葉ではない表現の存在が、かつて赤ちゃんだった大人に残る感性の白い部分もくすぐってくる。
想像力の絵筆を手にとり自由な旅をしてみよう。新しいスケッチブックをめくるつもりで、感性がはばたくのをゆるしてみよう。
白は、はじまりの気配に満ちている。
やわらかな感性が、白い産衣にくるまり見る夢が、この世界の豊かさに見守られた平和で美しいものでありますように。
そう願う2023年の冬至です。
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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa
デザイナー
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