illustration, text: shiika

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8月

“アルプス”

窓の向こうの、まだ白さの残るアルプスの稜線を眺めている。
渓谷を雲の影が通り過ぎて、再び太陽が照らすのが見える。
岩と石だらけのゴツゴツとした地面や
ひっそりと佇む植物の間を行くと
たくさんの風の音が聞こえる。
透き通った水面に漣がたち、
時折キラキラと光る。

そんな想像をしながら、冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出して注ぐ。
グラスから手をつたって滴る水滴は
うるうると光って床に落ちる。
何もかもが溶けていくような日差しの強さに目が眩んで、
何もかもがスローモーションになるような気がする。

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