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[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 026. | 堀内誠一 - 世界はこんなに

[WALLFLOWER CATALOGUE] FILE 026. | 堀内誠一 - 世界はこんなに

What a Wonderful World

2025年3月、東京・立川にあるPLAY! MUSEUMを日帰りで訪ねてきました。
目的は、堀内誠一さんの回顧展です。
アートディレクター、デザイナー、そして絵本作家としても名の知れた堀内さんのことを、不勉強すぎる私はあまりよくわかっていませんでした。an・anやolive、BRUTUSにPOPEYEといったマガジンハウス系のロゴやデザインでその仕事を頻繁に目にする機会があっても、当たり前のように存在している大御所は遥か遠い存在。絵本がほとんどない家で育ったので幼い頃に『ぐるんぱのようちえん』や『こすずめのぼうけん』を読んだ記憶もありません。

そんな私が、ジャンルも多岐にわたる堀内さんの膨大な仕事を眼前にして感じたものは、溢れんばかりの仕事愛と、子どもや、かつて子どもだった大人たちへの信頼と愛のようなものでした。

今回は、その展覧会の公式図録にあたる作品集をご紹介したいと思っています。でも、初めてこの本を目にした時は、なんというか、肩透かしを食らった気分でした。こんなに図版が小さくて、ジャンルや時系列で分類もしない、説明の少ない本で良いの??

でも、それが、良いんです。
多才かつ多彩な表現を残された方の図録としては物足りなく見えるかもしれませんが、この本には単なる図録以上の意味と広がりがあります。そもそも、あれだけの質・量の仕事を全て収めようとしたならば、百科事典で何冊分のボリュームになるのでしょう。

描いた絵本やアートディレクションした雑誌の1ページ、絵画・イラスト・写真・デザイン等の堀内さんの仕事の断片と、著作物やインタビューから抜粋された言葉が並べられたこの本は、小さな詩画集のようでもあります。短くても含蓄に富んだ言葉の数々が、堀内さんの創造力の翼を得ていきいきと動きだし、心に届く。これが、その仕事を振りかえるのに最適なかたちなのだと思いました。出典や解説は巻末にきちんと収められています。
絵本の絵は本来は物語のなかで出会うべきですし、雑誌のアートディレクションにも文脈があり、そこから一旦切り離されているこの本のかたちは、堀内さんのエッセンスがより深く届くものになっています。

私たちは、この頃は特に、分断され、悲しみも憎しみも戦争もある世界に生きていますが、それでも、
世界はこんなに、うつくしく、おもしろく、ゆめいっぱいで、はてしない。

堀内さんの仕事を通して「希望」のようなものを伝えてくれるこの本を、私は夜寝るまえにベッドで開くのが好きです。たまたま開いたページの言葉や表現は、ときに天啓のように心に響いてきて、幸せな気持ちで眠りにつくことができます。

"What a Wonderful World"

そう思える世界にしたいですね。



堀内誠一 – 世界はこんなに

Artwork:   堀内誠一(絵) 高橋歩(アートディレクション・デザイン)
Format:   book, hard cover
product no. :     9784908356667

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文・写真 / 荒澤文香 fumika arasawa

デザイナー

フリーランス ⇄ 会社勤務、ときどき友人たちのお手伝いもしています。
2024年 松本に移住。

Instagram: @fumika

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WALLFLOWER CATALOGUE(ウォールフラワー・カタログ)

日々の壁際に花咲くデザイン心ゆさぶるアートワークの数々をデザイナーの荒澤文香さんが毎回1 点ずつご紹介。
毎月1回。2度目の二十四節気のタイミング(20日前後)で更新予定です。

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