• [アートブックから見えるもの] 高里千世 “ビリビリッ”

    [アートブックから見えるもの] 高里千世 “ビリビリッ”
    暗幕をビリビリッと破いてその向こう側へ。

    この作品集から無秩序に浮かび上がってくるイメージと感情を意味付けするのは難しい。

    怒り、悲しみ、混沌、吹っ切れた清々しさ。
    どれもちょっと違う気もするし、それら全てを含んでいる気もする。

    このページを選んだ明確な理由もなくて、強いて言えば「目が合った」の感覚に近い。
    ビリビリッと破った後の焼け野原から見えてくる新たな世界は、最初はわけがわからないものだ。
    この作品集に触れた当初は、破るという行為のカタルシスにこそ魅力を感じていた。
    今はその先に芽生える、生々しいわけのわからなさに心惹かれている。
    わけもわからず変化し、淀んでいたものが再生していく感覚を、自分ごとのように楽しんでいる。
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